「はいはい、のいて」
「っ」
「どうしたの、ジェット?」



なんていう格好をしてんだよとアメリカの不良が真っ赤になって叫ぶのを尻目に
私はじいさまに頼まれた書類を持って行く。その途中でリビングを横切ると陽気なアメリカ人 に喧嘩を売られた…というわけだ。
格好というのは真っ裸でタオル一枚というものなんだけれども仕方がない。これには理由があ る。
急ぎと言われていたのをすっかりこっかり忘れていてそれをシャワーを浴びている時に思い出 したのだ。なんというベたな展開。少し考えてみたもののまぁいいかという結論に至って今に 至るのだが。ジェット五月蠅い。年ごといってもアメリカってもっと露出度高いんじゃないの ?と思いながらも目的地に到着する。
その間中ずっと小言を言われる。小姑だ。飛ぶ小姑。小姑だねと言ったらより一層怒られた。





「おー。。なんていう格好をしとるんじゃ」
「それはいいとしてじいさま。はい」
「急がなくてもよかったのに」
「急げって言ったじゃない」
ちゃん…」
「ギルモア博士もいってやってよ。惚けたんじゃないの」
「まずちゃんの服どうにかしないと…」
「えー?フランソワまで」
「他の人もいるから…ね」







ため息をつく。見渡すと絶句といった感じのハインリヒとジョーがいる。
何さ。そんな顔で見なくていいじゃない。とりあえず寒くなってきて小さくくしゃみをする。


(あー…寒くなってきた)




「なんていう格好してるんだ。風邪ひくぞ」
「シャワー入ってたら思い出したのよ」
ちゃん、流石に何か着てきた方が」
「そうだぜ、その姿は目に毒だぜ」
「…貧相な体で悪かったわね」
「あ?」
「そりゃジェットのお国のナイスバディーとは違うでしょうさ」
「何言ってやがる」
「それよりその上着貸して。寒い」
「とりあえずこれでも着ておけ」
「あー…ありがとう。ハインリヒ」





近くにあったブランケットを投げられて私はそれを受け取る。
あー寒かったというとジェットに当たり前だとまた怒られる。

「ジョー…ジェットが怖い」
が悪いよ」
「けっ裏切り者。ジョーは味方だと思ったのに」
「取り合えずだ。風呂入ってこい」
「はーい」







そういって部屋を出ていくとジェロニモにも合う。
(そんな顔しなくてもいいじゃないっ)













01.我が家のワガママお姫様











「とりあえず入ってきたよ」と私が云うと下着ぐらいちゃんとつけろよと口うるさい小姑がぎ ゃんぎゃんいう。ジェットよ。お前はそんなに真面目だったか?うるさいなぁと言いながらワ インに口をつける。ああ、至福の瞬間。幸せ。



「あっハインリヒ。さっきはありがとう」
「いや…」
「とりあえずブランケット返すね」
「…
「何?」
「下着くらいつけろ。妙齢の女性が」
「ここにも小姑が。」
「言われたくなかったらきちんとすることだな」
「別にいいじゃない」
「だめだ」
「なんで?ハインリヒだって妙齢の女性の1人や2人いたでしょ」
「関係ないだろ」
「良いじゃない。別に恋人も貞操を捧げる人もいないわけだし」
「だめだ」
「はぁー…別にいいじゃない」
「だめだ」
「別段本物でもないし」
「「は?」」
「あっ」










やばい。ワインで酔ったか私。最大秘密事項をペロッと言ってしまった。
アハハと笑って2人を見てみたが顔が笑っていない。


怖いよ2人とも。


もう一度あははと笑う。とりあえずもう一杯取ってこようと独り言を言いながら立ち上がる。
が、がっしりと腕を掴まれて動かない。痛い。痛いよ、視線が痛い。
私は離してと可愛く笑ってみたがどういうことだとあのハスキーボイスで聞かれる。








「まさか…整形?」
「殺すわよ、ジェット」

「だったらなんだよ」
「整形だったらもっと胸をでかくしてるわよ。この鳥っ」
「うるせぇ貧乳」
「何よ」
「なんだよ」








言い争っているとジェットがチョップをくらう。ざまーみろ。と思っていたら説明しろと言わ れる。
あーあ。ジェットなら誤魔化せれたのに。私の馬鹿。




「私もサイボーグなの」
「っ」
「そんだけのことよ」

「次改造してもらうときは胸を大きくしてもらいます」
「おい」
「何?」
「泣くな」







そう言われて初めて自分が泣いている事に気がついた。












(あーあ。ばれちゃった)
(私はこの人たちと違うのに)











(自分で望んでなったのに)