「ん…」

目をあけると銀が飛び込んでくる。ああびっくりした。目をパチパチと瞬きをする。やっぱり 銀は間違いないらしい。また目を閉じようとするとぎゅっと抱きしめられる。
心臓が止まるかと思った。びっくりだ。びっくり。






「アル?」
「起きたか」
「うんーアルも?」
「起きてた」
「いつから」
「最初っから」
「寝なよ」
「んー…」




髪を触っていたらその手を絡めとられる。その手を彼の手に絡める。黒い手袋の感触がじわり と広がる。広がって寂しくなったから手袋除けていい?と尋ねると駄目だといわれる。ちょっ とさみしい。さみしいからそのまま手袋の指を口に含む。馬鹿がと怒られるけど構わず掌にキ スをする。



「まだ足りないか?」
「うふふ」
?」
「少しさみしくなっただけ」
「…は?」
「寂しいのよ」







そういってあなたの胸に顔を埋める。寂しいのはホント。私もあなたも無限に近い時を持って いるけど、切ない位寂しいのはなぜだろうか?寂しいなというと額にキスを落とされる。それ でも寂しい。寂しいな。寂しい。







「んっ」
「どうした」
「あ…んぅ。アル」
「まだ寂しいのか?」
「うん…アルが欲しい」
「っ」
「アル?」
「どこでそんな言葉を覚えてきた?」
「ジェットのエロ本」








そういうと深い深いため息をつかれる。何よ。これで一発☆って書いてたじゃない。シーツの 中はさっきまでの名残の生足をあなたに絡める。べったりなのに寂しい。寂しいな…。







「ジェットとどんな話してるんだ」
「猥談とか」
「…」
「アル?っあん」
「…」
「くぅ…アルっ…急に」
「急に…なんだ?」
「急に…指っつぁ」

「あ…んぇ。アル」







アルアルアルと何度もあなたの名前を呼ぶ。
呼んでみるけれどもあなたは何も云わず静かにしろと言わんばかりにキスを落とす。
無理だよ。気持ちいいんだもの。とりあえず指を噛んでみたものの手の指すら剥がれる。




「あっあ…んぅ。」
「…」
「じ…らさ…ないで。アル…い、れて」
「それもジェット仕込みか」
「んう…アル……」
「気に入らないな」
「あ…ん。」
「気に入らないが」










一層高い声が上がる。意義なりいられたのだから仕方ない。仕方ない。とりあえず手を絡める 。私も女なのだ。仕方がない。声が上がる。アルアルアル。










「愛…して…」

「う…ん。あぁっだめ。」
、ここか」
「ひゃっ…あぁぁあああ」
「っく。」







機械なのか
人なのか













私には分からないけどこの高揚感は間違いなく人の時のものだ








「何を考えてた?」
「え?」
「何考えてたんだ」
「なんで止めるの?」
「答えろ」
「やぁ…」

「いかせてくれたら教えてあげる。」
「っち」
「きゃぁ」










一度止められても高揚感は変わらない。目の前がスパークする。
ちかちか。火花まで見えそうだ。見えたらいいのに。見えるほど激しかったら余計なこと感じ ないかなとおもったら銀が見える。

「ぐぇ」という色気のない声が出たのは許してほしい。いった途端にアルの体がのってきたの だから。重いよといっても胸に顔をうずめたままアルは動かない。重い。息がしにくいと思い ながらその髪で遊ぶ。











「何を考えてた」
「何?」
「最後。」
「あー…」
「ジェットか?」
「は?」
「…なんでもない」










逃がしません。絶対逃がさないという意味で頭をぐっと抱きしめる。痛かったのか腕を叩かれ たけれどもそんなのしかとだ。無視無視。うふふと可愛く笑ったつもりだけれども私も肺を押 しつぶされているからぐふふになった。失敗失敗。くふふ。やや失敗。うふふ。やっと成功。 そうしたら気持ちが悪いとぼそりと呟かれる。







「ひどい。けど許す」
「何をだ」
「うふふ」
「私のこと好き?」
「は?」
「私は大好きよ」









だから嫉妬してくれてありがとうと言えば思いっきり胸を吸われた。
(人だったら痕になるだろうな)





















そんなことを考えていたら再び聞かれる。
少ししつこい。



くどい。






言いたくないよ。




「何を考えてた?」と言われた瞬間、私はかなり浅ましいことを考えてた。
ヒルダさんともこうしてたのかな?とかいろいろ。

アルに抱かれるたびにそんなことを思う。




私だってはじめてがあ・な・た☆というわけではないのだからそれなりに経験がある。
でもだ、あなたとヒルダさんみたいな人はいなかった。いるとしたら私にはあなただけだ。
それが無性に寂しくて無性に悔しかったのだ。









?」
「んー?」
「まだ寂しいか?」
「うん」








だから寂しいのだ。
悠久の時をこの感情とともに歩まなくてはいけないかと思うと心臓あたりの何かが痛い。
痛い痛い。







けど






「そうか」
「でも」
「?」
「今は暖かいよ」
「ん」


















離れたくはない。


それほどあなたが好きなのだ。








「好き」
「ん」










あなたが好き
(あなたが私を好きでなくてももういいや)


















01.君とともにある人は私ですか?














お前は知らないだろうな。
俺がどれほどお前が大切で愛しているかなんて。

ヒルダとは別の感情。

正しくは同じかもしれないけれどもこの感情は間違いなく




((愛してる))