「どうせ私なんてどっちでもいいんでしょっ」
「ちょっ。さん?」
目の前には馬乗りになる彼女の顔。
そして背中には彼女の匂いが香る布団。
「ちょっと退きましょうよ」
「嫌よ。」
「我がまま言わないで。」
「…」
そう言うと彼女の眉間に皺が寄る。…嫌な予感だ。
「っん」
「んっん…」
「んーっ(何処でこんな事)」
「んっふ。」
「ちょっ。どこ触ってるんですか」
「聞きたい?」
「その前にどいて」
「ふーん。まだそういうの?」
袴の紐をしゅるりと解いて、そのまま唇を這わす。
いつの間にかその場に聞こえるのは獣のような息づかいだけで。
本当にどこでそんなこと覚えてきたんだよと思う反面。必死に自分を抑える。
「っち」
「…」
「もういいです」
「はぁ…」
「ため息までついて。そんなに魅力がなけりゃ他の人んとこ行って下さい」
「は?」
「どうせつきあっているのかどうか、分からない関係なんですから」
「ちょっと」
「…なんですか?もう眠たいから寝まっん」
(私だって嫉妬ぐらいする。)
(付きあってからもう半年も経つのに私には触れないで)
(なのに毎回真新しいキスマークをつけてくるあなたが、)
(憎くてたまらない)
「どういうことですか?」
「胸っさわ…りながら」
「私の気持ちも知らないで」
「んあっ。だって、 この…前も……今日も首筋」
「あ…(やばい)」
「私…には仕事かんぅぁっ。どうか」
「嫉妬?」
「ちょっ。舌」
「甘いですよ」
「あんっ。」
「したかったんでしょ」
「ちょっ」
「もう濡れてる。」
「きゃっ」
「いれるよ」
性急だ…と自分でもわかる。
でも仕方ない。
さっきので本来押し倒したかたのだから。
何より
「可愛い」
「いき…な…り?」
「可愛い」
「つぁ。はげ…」
嫉妬なんてしてくれる彼女が可愛い。
(理性なんてもうない)
「ここがいい?」
「つぁ。んんん」
「声聞かせて」
「ひゃっ。」
「お願い」
「背中…舐め…っぁう」
「そんなに締め付けないで」
「っぁ。やだやだ」
「なんで?ここ触った方が感じるんだろ」
「や…ああぁぁん」
この声が聞きたかったんだ。
B級ポルノ 果てる声
「で」
「ん?」
「何処で浮気してきたんですか」
「してませんよ。それより、どこで覚えたんですか」
「何を?」
「最初の」
「あぁ。前の彼氏に仕込まれました」
「…」
「あれ?」
「それはそれは」
「利吉さん?」
「私はあなたが初めてかと思って…そうですか。」
「お…怒ってらっしゃる?」
「いえいえ。楽しみが増えたと思っただけです」
シーツの中で私を抱きしめる腕がなぜか強くなる。
服を着たまま繋がったから私は乱れた着物のまま彼に抱きしめられていたのだけれども
何 故 か 脱 が さ れ て る!!!
「りりりりりりりり」
「初めてだから優しくとかいろいろ考えていたんですよ」
「利吉さん?」
「そっかー。私もいろいろ試してみないと」
「何を!?」
「知りたい?そうですか。じゃあ今から」
「ぎゃゃゃゃゃゃゃゃゃゃゃゃゃゃゃゃゃ」
結局日が上がってまた日が沈むまで離してくれず
「仕事っ。保健医という崇高な仕事が」
「大丈夫。伊作君が快く引き受けてくれたよ」
「ここは長屋だし」
「大丈夫です。みんな私を襲ったこと知ってますから」
「なんでっ」
「だって忍術学園ですよ?ここで押し倒さないように私がどれだけ頑張っていたか」
「ひぃぃぃい。もう無理です」
「寝たから大丈夫でしょ」
もう二度とするもんかと布団に倒れながら
嬉々とする奴を睨むがっ
「愛してますよ」
「…」
「さん」
「さんはやめて下さい」
「」
「っ(無駄に色気をばら撒くなッ)」
「は?(この声弱いなぁ)」
「す…きです」
こんな事で許してしまう自分は
どうしようもなくこの人を愛しているようです。