「それがよ。すげっ美人」
「まじかよ」
「ただ傷がすごくてよ」
「は?」
「傷の理由は何にもいわねぇの。またそこが良くてよ」
「気の強い女だな。銀さんパス」
「なら、これいらないな」
「ん?」
「半額券。紹介したら俺は無料」
「はっ。どんだけ不細工なんだよ」
「と言いながら何だよその手」







薄暗い路地の奥にある
明らかに風俗ですよな建物

薄暗い待合
顔を手で隠して媚びたように笑う女の写真









「明らかに卑猥だな」
「なら来るなよ」
「てめっ。あんたこそ嫁さんどうしたんだよ」
「う」
「…じゃあ銀さんいってきまぁ〜す」
「兄さんどの子にすんの?」
「銀さん噂の傷の子」
「あーーーーーーーっ!!!それは俺が」
「あっ。御目が高いね。うちの一番の子だよ」
「じゃっ。拝見させてもらおっか」













からりと扉をあける。
ああ。まさに風俗。女は簡単な着物を着て背を向けているが








………………まさか












?」
「…いらっしゃい。」
「なんで?」
「なんで来るのよ」







真っ白な四肢に刻まれた傷。
黒い髪黒い瞳





『銀っ』






あの時のまま。
そう、あの時のまま。














「っちょ」
「早く済ませるから。」
「まてって」
「…そのために来たんでしょ」
「っ」
「任せて。ね…」









お客さんといった瞬間
何かが切れた。





有無も言わず
彼女を何人もの男が寝ただろうマットの上に押し倒す。







「っ」
「なんでだよ」
「…離して」
「どうしてだ、









戦火の中
急にいなくなってしまった彼女







傷だらけで
涙を流しながら戦った彼女









そして



















「なんで…だよ」
「銀」
「なんで。ん」
「黙って」
「んっつ。あ」
「ん…ふ」
…やめっ」
「ふぁ…ん」













彼女が本当にここの住人だとわかる。
舐め上げ、手で触り、全身で愛撫する。
やばいと思った瞬間

彼女と目が合う。


やばい。本気でやばい。









がいる。
愛する女がここにいた。













「っぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ」
「ん…んぐ」
















ただ残ったのは獣のような息遣いだけだった。

















B級ポルノ 泡姫の恋












「はーい、お客さん時間ですよ」
「ちょっ。まだ話が終わってねーぞ」
「帰ってちょうだい、お客さん。外まで送っていって」
「はーい。」
「ちょっと待てコラッ!!!っ」






『バイバイ』










何年ぶりに会った私たちはなんて滑稽なんだろう。
すくりと立って携帯電話を取り出す。







「もしもし?小太郎」
か?』
「ごめん。また隠れるわ」
『…どうした?』
「銀にばれた。」
『そうか…。』
「また落ち着いたら電話するわ。一週間経って連絡なかったら死んだと思って」
『分かった』










パチリと携帯を閉めて
私は店長に行くわと告げる。



荷物は少ない。




また闇へと隠れるだけだ。






(慣れたけど)















銀でよかったのかよくなかったのか










(良くわかった)
(…前から知ってたけど)
(大好き)
(愛してるよ、銀)








取り合えずだ。















(私は逃げる)
(白から)
(黒から)