ドリー夢小説
「私服…」
「へ?」
「はじめてみた」
「何言ってんの?昨日ね散々見たでしょ?寝ぼけてる?」
「うっせぇ…」
「低血圧だね、妖一君は」















揺すって起こされたのは何年ぶりだろう。













目を開けたら彼女が居た。















思わず本心を漏らしそうになる。










そんなことを知りはしない彼女は




いつの間にか部屋着だろうワンピースに着替えていて
エプロンを着て慌しく動いている。













「おっ、起きたか」
「おー…」
「どうした?」
「萎える。糞ジジイ…」
「とっとと起きろ。」













視界に現れたジジイを横目に
忙しく動く彼女を見つめる。
























「ん?」
「おはよう」
「うん。おはようございます、妖一君。」











どうして









どうしてこんなにも













幸せなのだろうか?
(女なんてメンデェと思っていたのに)







彼女が笑う
ただそれだけで幸せになる。
















「妖一君。早く起きないと」
「あぁ…」
「おきてっ!」
「うっせぇ…」
「ご飯冷めちゃうよ。」
「ん…」
「厳。起こしてよ。食べてないでっ」
「無理だな。腹がへったし。お袋達にメシ持っていかないと行けねぇし」
「ぶぅ」

「こうなったら意地でも起こしてやる。」


















むんっとか
ふんっとか言って




が俺を起こそうとする。



(てめぇの力で起きる訳ないだろ)






「おもっ」
「当たり前だ。ヒル魔は細身だが鍛えてる男をひっくり返せるか」
「厳ならウィークポイント知ってるから直ぐ起こせるのに」
「ふ〜ん」
「妖一君は何処?」
「…言うか」
「じゃあ先出るぞ」
「あっいってらっしゃい」
「遅刻するなよ」
「善処します。」








ぱたりと戸が閉まる音が聞こえる。










(行ったか?)
「起きる?」
「あぁ…」
「コーヒー入れるよ」
「あぁ」
「一分遅れたごとに砂糖一袋入れるよ」
「…直ぐ起きる。」






むくりと起き上がった瞬間





ベッドの端に腰をかけたとばっちり目が合う。










顔が近い。










そのまま彼女の首に頭を埋める。











「よっ妖一君!!???!?!?!」
「旨そうな匂い」
「…低血圧だね。体だるい?」
「おぉー…」




「大丈夫」といいながら
至極心配そうに背中を擦る。

















後は自分との理性の戦いで












私は振り返って彼方を影を静かに見つめる 10


















「ん?大丈夫???」
「おめぇ」
「何」
「男いねぇだろ」
「ひどっ」
「ケケケ、こんな糞天然に好きな奴いねぇわな」
「いるよ」




「ああ?」
「好きな人」










真っ赤な顔で彼女が言う



小さく舌打ちをして
髪をぐしゃくじゃにしてやって







飯にすっかと立ち上がった。
















(私が好きなのは彼方だよ)
(こいつの好きなやつを殺して…いっそ今この手で俺のものにしたい)