「あら?」
「こんにちは。さん」
「こんにちは。乱太郎君」
「あれ?先輩は?」
「今日六年生は実技があったんですって」
さんが笑いながら薬を調合する。
ゴリゴリゴリくすくすくす。いつもはこれに善法寺先輩のにこにこがつく。
不運じゃない。この瞬間だけは不運じゃないんだけれど。
バタバタバタ。
ああきちゃったなぁと思う。さんが乱太郎君この薬は高いから横の部屋に入れときましょうとにこにこ笑いながらいう。もう手慣れてる。というかあの人たちの扱いが達人の域にいっている気がする。
あっさんというのは新野先生の娘さんで1年間だけ病気の先生の代わりにやってきた保健の先生です。(歳を聞いた某イケイケドンドンが吹っ飛ばされたのを見たため皆聞けない)
「さ〜ん」
「あら伊作ちゃん?可愛い」
「助けてって。え?」
「女装の実習だったのね」
「…さん」
「あとの面々は?」
と言いながら神業的な速度でさんが障子をあける。
あけて
ぴたりと止まって
うつぶせて笑い始める。
(僕も笑いたいけど笑えない)
「あははははははははははははははははははははははは」
「っ」
「仙様素敵。」
「ありがとう」
「小平太も可愛い」
「マジで?」
「うんうん。可愛いよ。でも着物の前は気にしてあげてね。そんなので歩いてる女の子いたら襲われるよ」
「あはは☆」
「で」
「あ?」
大爆笑しながら指をさす。
僕達だったら大変だけどさんは気にせず笑う。
「ばっ化け物」と大爆笑しながら笑う。
「仙様みなよ。すごく美人じゃない、何もんじとで長次郎君と留ちゃんは化けもんなの?」
「なんだと」
「黙っててよ。しゃべると笑いが…おなかが痛い」
「このバカ女」
「。」
「…」
「留ちゃんは技術的な問題だけど…後の2人は山田先生クラスだ」
伝子さんと言いながら大爆笑。
笑ってごめんねと言いながら大爆笑。
「長次郎君はピンクはなかったね。」
「…」
「あはは。ごめんごめん。女装しなくても生きていけるって」
「おい」
「留ちゃん。化粧はちゃんとしないと崩れているから化け物系になるんだよ」
「そうか?苦手なんだよ」
「あはは。ちょっと待ってよ。治してあげる。」
「あー。いいよ。」
「」
「もうとっちゃうの?ツマンナイ☆」
「予算へすぞぉぉぉぉぉぉ」
潮江先輩の断末魔が聞こえる。
とりあえずさんがぴたりと止まったと思うと
再び苦しそうに笑い始める。
「ら…乱太郎君。」
「(こっちにふらないで)」
「これが世で言う化け物だよ」
「なんだと」
「しゃべんないでよ。お腹が」
「大体、自身化粧してねぇじゃないか。自分を棚に上げて何言ってやがる。」
「えー。化け物と一緒にしないでよ」
「はっ。化けもんくらいしかできないんだろう?だからしないんだ」
「えー…じゃあ本気出しちゃおうかな」
そういって化粧取っておいでよ。私山田先生のところ行ってくるからと笑いながらさんは部屋を出て行ってしまった。
01.わたくしと申します。職業は一応…保健医?
「けっ」
「さん遅いね」
保健室で待っていたらぱたぱたっという音がする。
「あっ利吉さん」
「お前たちかぁぁぁぁ」
「どっどうしたんです」
ぱたんと勢い良く開いた戸からよく見た顔が見える。
なぜか怒っている利吉さん。
「を煽ったのはどいつだ」
「へ?」
「お前か」
「てめーら。俺を売りやがりやがって」
「事実だ。バカたれ。」
「なんだとっ」
「さんがどうしたんですか」
「立花。お前なら気が付いてただろう」
「なんのことです?」
悪い笑みで笑う立花先輩をよそ眼にあらら?というさんの声が聞こえる。
「」
「お久しぶりです。利吉さんどうしたんですかこんなところで。お茶でも淹れましょうか?」
「う…うん」
さっきの鬼のような形相が嘘のようでだんだん赤くなる。
その理由がよくわかる。
「わぁぁぁ。さんキレー」
「うふふ。ありがとう、乱太郎君」
「茜色の方が似合ったんじゃないのか?」
「手厳しいね、仙様。伝子さんプッシュだから断れなくて」
「…」
「長次郎君もありがとう」
うふふと笑って固まっている2名の元へ行く。
あんぐりと口をあけている潮江先輩と
真っ赤になってさんに見とれる食満先輩と。
さんはにこにこ笑いながら
2人の前にしゃがみこみ「どうかしら?」と小首をかしげて尋ねる。
「っ」
「素直に言ったらどうだ?」
「可愛いぞっさん」
「小平太ありがとう。で2人は?」
「うん。綺麗だな」
「おっ留ちゃん。私の魅力がわかったかい?」
「おお。女は化けるっていうけど化けすぎだろ」
「ふふふ。でもんじは?」
「…」
おーいと言いながら白い指で潮江先輩の頬をプニプニする。
にこにこ
にやにや
「だぁぁぁぁぁ!!!!!!!」
「えっちょっ」
(あっ逃げた)
(馬鹿だね)
(あはは)