「っ」


(シヌノダロウカ)
(ワタシカタミカ)





嫌な夢を見た。
全身が冷や汗でびっしょりだ。





(アノコロノツミガキエルトオモウナヨ)




「み…ず」


無性にのどが渇く。
竹筒を取ってそのまま外に出る。




ここにいたくなかった。




怖い夢を見た。
怖い夢。

…夢?


いや現実かもしれない。

ここでいるのが夢かもしれない。
本当はまだ…





私は





















?」











いつの間にか薬草園まで歩いてたらしく
声で我に帰る。



誰?と声にならにい声で
朧な視線をそちらに投げる。




(マタワタクシハヒトヲコロスタメニウデヲフルウノ)
(トトサマタスケテカカサマタスケテ)
(ワタシハヒトヲイカスタメニ)







っ」
「っ」
「おいっどうした?」
「もん…じ?」
「どうしてこんなとこにいんだよ」




肩を掴まれてぴくりとする。びくりとして顔を上げると見慣れた緑が目に入る。
ああ大丈夫。私はここにいる。ちゃんと現実だ。



と思いながらも手の震えが止まらない。




「どうした?」
「もんじ…」
「すげぇ汗。」
「声」
「あ?」
「声を聞かせて」
「は?どうしたんだよ。お前らしくねぇ」
「ふふふ。」
「自主トレしてたらお前が見えてよ。どうしたのかと思ったら…変だぜ」
「うん。ごめん。」
「いや、別にいいんだけどよ」
「もう。大丈夫」
「あ?」
「ごめんね。自主トレ邪魔して」



そういって上手く笑えただろうか?






私はここを戦場にするかもしれないと思った瞬間
本当に恐ろしくなった。








「もんじ」
「あ?」
「私は誰」
「惚けたか?はここの保険医だろ」
「そうだよ…ね」
「どうした。本当にらしくないぞ」
「っ」
「何があった?いってみろ」
「ごめん」
「あ?」
「いえない…」
「は?」
「いえないの……」







ぼろぼろと涙が出て
もんじがぎょっとするのが分かる。





「ごめっ」
「おっ…ヘムヘム?どうした」
「っ」
?」
「ヘムヘム」
「ヘムヘム?ちょっ」
「ごめん。おやすみ」
「まて、
「…ヘムヘム」














ヘムヘムが手を引いてくれる。
ごめんね、ありがとうと私が云うとへむへむと返ってくる。







「ヘムヘム」
「ヘム?」
「私はここに居ていいの?」
「ヘム」
「学園長はいいっていってくれたけどドクタケがいつ来るか」
「ヘムっ」
「ごめんね。私はまだまだ駄目だね。」
「ヘムー」










泣かないでということかな?
私は再び御免とつぶやいた。














02.私の秘密はまだ御教え出来ません。













「あー…もんじ。どうしたの?」
「昨日」
「昨日?」
さん〜この薬」
「ちょっと待ってて」
「いや…」
さん」
「利吉さん。どうしたんですか?急に天井から」
「ちょっといいですか」
「あー…もんじまた今度でもいい?」
「別に…もういい」










パタリと閉められた障子を見て私はため息をつく。



「ばれたんですか」
「いいえ、昨日少し錯乱してしまって」
「大丈夫ですか?」
「はい。何とかごまかします」
「そーいうことではないんですけど」
「え?」
「とりあえず」
「はい」









お茶をもらえますかという利吉さんに私は少し驚く








「なんです?」
「いえ、何かわかったのかと思っていたから」
さんに会いに来たんですよ」
「は?」
「…というのは冗談で、父上に会いに来たんです」
「はぁ」
「(鈍感だなぁ)」
「とりあえずお茶ですね。」
「助けてあげたのに」
「う…ありがとうございます」
「美味しい団子を買って来ましたから。縁側で食べましょう」
「でも」
「今日はいい天気ですよ。気分転換に良いでしょ」
「…はい。」
「では」
「利吉さん」
「はい?」
「ありがとうございます」
「っ」
「さて、行きますか」
「(何この子。可愛い)」
「利吉さん?」
「あっはいはい」













縁側で2人が並んで話してている。


昨日のはなんだったんだよと聞けず心の中で舌打ちする自分に自己嫌悪する。
子供だ。が同じ年と聞いた瞬間、本気で驚いたが。自分は子供で彼女が大人に感じるこんな 瞬間が死ぬほどいやだった。







その理由はわかっている。
そこまで鈍感じゃねぇ。








でも三禁の1つだ。



(と言いながらあのフリー忍者は破ってんな)




そんなこと以上に




彼女と不釣り合いという事に気がつくのが本当嫌だった。


(だから子供なんだ)






「文次郎」
「なんだよ」
「私は素直なお前が好きだよ」
「…気持ちわりぃこと言うな」
「私もそう思う。」
「っち」
「(素直になればいい線行くのにな)」
「すまねぇ。」
「いやいい。」