口が滑ったと言えばいいのだろうか?
昨日の晩、くの一の子たちに色について教えてと言われて
色って何?みたいな感じになったのがそもそもマズかった。
猥談と言うしかない内容を冷や汗もので聞いていて
「で、先生。すごいテクを教えて下さい」って笑顔で言うなよ。






5つも下の子供たちに赤面してしまって
ふふふと笑うしかできなかった。





一般的にこの年で経験がないというのは多くはなくとも少なくないだろう。
結婚するまで操を守っていたわけではないけれども医学の修行修行の日々でそういう相手がい なかっただけだ。
そして、何よりモテタ試しがないのだから仕方がない。


そういうと「へー」とすごい笑顔で言われてそこで解散した。
ああよかった。納得してくれたと思っていたのにあの笑顔は全然違った。見抜けなかったのだ から私はどうやら大分てんぱっていたらしい。



次の日伊作ちゃんに大変な事になってますよと乾いた笑いで言われた。






「何が?」
さんも不幸委員会の不幸顧問になってしまいましたね」
「失礼な。私のどこか不幸なのよ。そりゃたまに綾部の落とし穴に落ちるけど。忍びじゃない のだから仕方ないでしょ」
「いや…そういうことじゃなくて」
「?」
「くの一に何言ったんですか?」
「は?」
さんが経験ないっていうの上級生の中でうわさになってますよ」
「へー…え?」
さん?」
「はぁぁぁぁぁぁぁ?」











伊作ちゃんがすごいさらっというものだから
引き出し一つひっくり返してしまった。






顔がみるみる赤くなるのがわかる。







「ななななななななな」
「くの一に言ったんでしょ?それじゃみんなに回るの早いですよ」
「だって!!!大体、私が初めて…とか経…験ない…とか」
(可愛いなぁ)
「関係ないじゃないっ!!!」
さんモテるから。みんな少しでも好きな人としたいですからね。授業っていっても 」
「いやいやいや。私の意思は」
「…小平太辺りにそんなこと言っても無駄でしょ」
「あぁぁぁああ。」
(みてて飽きないなぁ)
「はっ!!!伊作ちゃんは?」
「…私としたいんですか?」
「…恋人いるでしょ」
「だから候補になってませんよ。」
「そっ。そうよね。」
さん声裏返ってますよ」
「だって…。」
「ほら噂をすれば」










伊作ちゃんが言い終わるといけいけどんどんの小平太が目の前に現れる。
何処から来たの?と言いたくなるように目の前に。しかも抱きついて!!!

そして、がやがやと皆が集まってくる。





文次郎に留さんに…長治は小平太を引っ張って行ってれて(恋人いるものね)
仙蔵までどうだという(っていうか恋人どうした)










なにがどうなんだよと心の中で舌打ちしながら
拒否してたら暴君が「何だ複数がいいのか」と恐ろしい事を云う。
……やめてくれ。私ってどんな女なんだよと思っていたら
5年生までやってくる。

優しくしますよとかもうすでに優しくないから。
流していたら再び複数説。

……プチンと何かがキレる音がした。






朝の始業の前にそんなことの為にくんなっ!!!!と叫んで


食堂まで逃げてきたのがついさっき。





おばちゃんが同情してくれて匿ってくれたのはいいけれども
明日は休みで今日の晩のうちにおうちへ帰るらしい。
一緒に寝てもらおうと思ったのに。




やばいよ、私の貞操と考えていると
本当に頭痛がして来て。

職員用の長屋だから大丈夫と思っていた私が甘かった。












休み時間の度に誰かがやってくる。
みんなそのうち毒もってやる。
ぶつぶつ言っていたら中には力技で出てくる奴も!!!
(言わずもがな暴君様だが)








「やだっ!!!」
「暴れると優しく出来ないぞ☆」
「なにがぞ☆よっ!!!十分優しくないわっ!!!」
「そーか。無理やりがいいか」
「ひっ。」









取り合えずだ。
ぶっ飛ばしたい。




けど、頭の上でまとめられて腕を解く事が出来ない。







「ん…ぅん」
「色っぽいなぁ」
「やっ。だれかっ!!!」
「誰もいてぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!!!!!!」
「何をしてるんだ!!!」
「わっ。やべっ」
「こら逃げるなッ!!!!」








酸素が足りない頭で誰かが助けてくれたことがわかる。
誰だろう御礼言わなきゃと思った瞬間目の前が真っ黒になる。








黒?あー…先生か。








「あり…が……とう…ござい」
さん?」
「土井先生?」
「ちょっとどういうことですか?」
「私が聞きたいくらいです」











そうだ私が聞きたいくらいだ。
何だよ!!!もうっ!!!!!!!!!

















01.勝手な争奪戦










「はぁ…」
「落ち着きましたか?」
「すいません。山田先生にも土井先生にもご迷惑を掛けて…」
「いえ、良いんですよ」
「はあ。くの一教室に無用なこと言ったばっかりに」
「ははは。すごい噂が流れてますもんなぁ」
「やっ山田先生!!!…ご存じなんですか?」
「何がです?」
「なんだ。半助は知らないのか?」
「知らなくていいです…。」
「まあまあ。あなたみたいな人がそういうことだからみんな驚いたんでしょ。悪意はないです よ」
「?」
「悪意がなくても心底疲れます。小平太をどうしてやろうか」
「あのー…話が見えないんですけど」
さんが生娘だっていう噂が流れててね。」
「山田先生ーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!」
「は?」
「それで争奪戦。いやはや。若いっていうのは単純だな」
「だから」
「私の貞操が危機なんです」
「…」
「今日どこで寝よう…」
「そうだ。さん」
「はい?」
「半助のところで寝なさい」
「は?」
「ちょっ!!!山田先生」
「私のところでもいいけど今日シナ先生と夜用がありましてな。半助は暇だろ」
「私もは組の…」
さんが困っているんだから」
「土井先生…端の方。いえ、押し入れの中でいいので。駄目なら伊作ちゃんのところに行かな いといけないんですけど…相手が相手だから。」
「ほとんどの委員長があの手この手で来るだろうからな」
「お願いします」
「っ」
「駄目ですか?」
「…分かりました」
「ありがとうございますっ!!!」









にこりと笑うさんと
真っ赤な半助と。

この二人の関係をうっすらとでも気づいているのは私だけだろう。





(山田先生…恨みますよ)
(何をおっしゃる。人のものになるくらいなら良いでしょ)
(それは…)
(頑張りなさい。)
(人ごとだと思ってっ!!!)