「土井先生…すごいですね」
「はは。慣れです」
「暗号というか…そういや、乱ちゃんの書類は読みにくかった気が」
「分かんない時はおっしゃって下さい。読みますから」
「ありがとうございます。あっ。お茶入れてきます」
「ありがとう」




とりあえず私の貞操は守られたらしい。
土井先生すごいっ!!!

あの仙蔵ですら手を出してこない。
うふふと笑いながらお茶を入れるとどうしましたと声がかけられる。



さんも大変ですね」
「もう…言わないで下さい。自分の不注意さに嫌気がさします」
「ははは。」
「もう、みんな何でそんな事にのりのりなんですかね」
さんもてますから」
「…は?」
「へ?」
「私もてたことないですよ。修業中は男より男らしいって言われてましたし。女の患者さんか ら言いよられたことはありましたけど」
「は?」
「だからみんな面白がっているのかなぁと」
「そりゃ違うでしょ」
「そーですか?こんな色気もへったくれもない女抱いて何が楽しいんだろ」
「…」
「あっすいません。お邪魔して」
さん」
「はい?」








パタリという音がする。
赤い墨がついた筆を机に置いて土井先生がこちらを見る。
どうしたのかな?と首を傾げていたら
もう一度名前を呼ばれた?








「どうしたんですか?」
「私はあなたが好きです」
「……………………は?」
「私だって今理性と本能が戦っているんです」
「ちょっ。なんで私押し倒されてるんですか?」
「あなたは自分の魅力を気づいていないみたいだから」
「いやいやいや。私の意思は?」
「嫌なら…」
「へ?」
「逃げて下さい。乱太郎たちの部屋で寝て下されば大丈夫ですよ」
「…」
さん?」
「…」
「止まりませんよ」








嗚呼駄目だ。
流されてしまう。
だって…そんな真剣な顔で私を見るのだもの。

でもこのままでは癪だ。








「土井先生」
「なんですか?」
「…」
「どうしました」
「………好きです」
「は?」
「私も……好きっん!!!」
「もう無理」
「っうあ!耳やぁ」
「こそばい?」
「うんん。変な感じが…します。」
さん。胸キレイ」
「やー。胸触らないで」
「なんで?綺麗なのに」
「んあっ!!!舐めないで」
「ん…」
「やぁ」
さん」
「んっ!!!」
「ああっあ!!!」
「…」
「っーーーーーーーーーー!!!」











なんだこの脱力感。
体がはねたと思ったら凄く疲れた。
ぼんやりした頭で土井先生を見る。
人の胸に埋まってなんか妙な顔でこっちを見る。


…私やっちまったか!?

(それよりいつ私服脱いだ?)

「私…なんか…」
さん」
「変…」
「っ」
「ごめんなさい…よくかわらなくっ土井先生?」
「可愛い…」
「は?」
「可愛すぎでしょ」
「へ?んっ。」
「少し辛抱して下さい」
「あぁん。そんなとこ。駄目ですっ!!!んん」
「気持ちいい?」
「分か…なっ!!あっん!んっ」
さん初めての割に感じやすい?」
「なに…が…で?」
「まだまだ余裕がありそうだな」
「ない…ですっ!!あぁ。」
「もっと余裕ないようにしてあげます」
「へっ?ひっ!!!あんっ。」
「もうとろとろだ」
「んっあ!!!はぁ…」
さん少し痛いかも」
「っっ」
「1本でこれか…」
「やっ。痛いです…やっだ」
「もう少し慣らさないと。後が痛いですよ」
「あ…と…?」
「もう1本いけるかな」








バラバラと動く指。
最初は痛かったのにだんだん変な感じになっていって
嬌声が上がる。

空いた手を土井先生の首に回す。
すると少しはにかみながら笑ってくれたので
私もうれしくて笑った。





「っ」
「え?っひゃ」
(限界かも)
「ま…た…っんう。変な感じが」
「あー…。」
「気持ち…いい。あん」
「もう駄目だ。」





指を引き抜かれて私は物足りなくなる。

ちらりと土井先生を見ればそんな顔で見ないで下さいとあの笑顔で言う。




「痛いですから。覚悟して下さい」
「何が…んんっ」





身が裂かれるかと思った。
痛いというより熱い。

こじ開ける様に土井先生が私を貫く。



「あぁ。ごめんなさい」
「せん…せ」
「ここでゆっくり入れたらもっと痛いから。」
「あっあっあっ」
「私に爪を立ててくれればいいから」
「んーーーーーーーーーー!!!!!!」













何かが破れて
激痛が少しマシになる。





耳元で聞こえる獣のような息づかいは私のものか先生のものか。
それすら分からなくてかすんだ視線で彼を見る。



少し汗をかいていて色っぽい。









「すき」と擦れた声で言えば「好きです」と返される。
そして短くキスをすると「痛いですか?」と尋ねられる。



「痛いですけど。少しマシになりました」
「では動きますよ」
「んっ。つぁ」
さん力抜いて」
「む…り」
さん」
「あぁぁんっ!!!つぁ。ん。ん」
「…






そんな色っぽい声で名前を呼ばないで下さい。
力が抜けたとこにあなたが奥まで付きあげる。





一瞬目の前に火花が散った。
意識が飛ぶかと思ったけれども何でも何でも突きあげられて
意識を飛ばすに飛ばせれず

喘ぐ声も徐々に声ならぬ声になる。







「色っぽい」
「っ」
「あなたのどこが魅力がないんですか?」
「あーっ」
「こんなに魅力的なのに」
「も…」
「愛してます」
「だ…め」
「一緒にいきましょう」










一層突きあげられて
頭がおかしくなるかと思った。




「だめっんんん!!!」

「ひゃっ」
「いけ」
「あーーーーーーーーーー!!!!!!」














目の前が真っ白になって
私は意識を手放した。












02.手放したもの手に入れたもの









「ん…」
「あ」
「おはよう…ございます」
「…おはよう」
「私…どうして…あっ」
さん…」
(恥ずかしいっ)
「布団にもぐりこまないで下さい」
「だって。土井先生」
「?」
「私その…」
「どうしました」
「すいません」
「謝らないで下さい。こっちが謝らないといけないくらいのに」
「いえっ。私が」
「わーーーーっ!!!急に布団から出ないで」
「へ?わぁーーーーーー!!!」
「とりあえず私は職員会議がありますから」
「夜中にですか」
「…いつもの思い付きです」
「あ…ああ」






パタリと閉められた。
なんか辛い。あー…きちんと告白されたわけじゃないし…。
…あれ私流されてる?
私は好きだと言ったけど。
ちゃんと言ってもらったっけか?



(あーあ。遊び人って思われたかも)
(好きだったのになぁ)
(ぐすん。)