「やぁ」
先生覚悟っ」
「うへっ。駄目駄目駄目っ」
「たぁぁぁあ」



へぷっという声とともに倒れる青。



「野村先生ぃぃぃぃぃぃい」
先生がいいと言ったんでしょ」
「あれは売り言葉に買い言葉です」
「駄目です。頑張ってください」
「松千代先生っ」
「頑張ってください」









話しながらも襲ってくる青。
かなりうんざりだ。うんざり。ぺいっと怪我をしないように投げる身にもなれよと心の中で毒 づきながら青を投げる。




「あーーーーーーーーっ」
さん?」
「土井先生助けて」
「へっ」
「やぁぁぁあ」






ぺいぺい投げていたら通りかかる土井先生の後ろに逃げる。助かった。と思ったら足もとに手 裏剣が刺さる。「ひっ」と自然に声が上がる。なんでこんな目に会ってんだろう、私。と思っ ていたら土井先生が野村先生に何してんですかと叫んでくれた。
本当にいい人だ。スペシャルブレンドの胃薬あげよう。絶対あげよう。





「何してるんですか」
「いや、何。今度の職員交流会(という名の飲み会)に先生を誘ったら」
「違うでしょっ!!!誘うまで普通だったじゃないですかっ。うわっ」
先生覚悟っ」
「えっちょっと待って。土井先生助けて」
「へっ。わぁぁぁぁ」




お姫様だっこで木の上に逃げてくれる。ありがたいけど恥ずかしい。恥ずかしすぎる。
土井先生はそんなのを気にせず、何をするんだと怒ってくれる。ありがとう。でも降ろして。



「土井先生。」
「なんです?」
「あっ、駄目。野村先生の云う事聞いちゃ」



耳を一生懸命塞いだけど「2年生に負けたら先生のおごりです」という言葉を聞かれてしまった。やばい。いい笑顔だ。「えへ ?」っていっても無駄だろうな。地面に下ろされる。無駄だったかっ!!!
今度胃薬という名の毒薬をあげよう。下剤でいいかな。



「だってその日はもにょもにょ」
「いや、良い事聞きました。頑張れ」
先生頑張れ」
「鬼っ。鬼畜。」




事の始まりは野村先生に次の飲み会どうしますか?と聞かれた時だ。
私は文次郎と久しぶりにまったりしようと(勝手に)思っていたから丁重に断ったら

さんは忍者じゃないんですからいざというときのために交流をしておかないと大変 な事になりますよ」
「大丈夫です。これでも普通の男の人には負けません。先生とか上級生とかは無理だけど」
「下級生にも勝てないでしょ」
「勝てますよ」
「無理ですよ」
「勝てます」
「無理」
「素手でなら絶対勝てますっ」
「じゃあ負けたら行きましょう。先生のおごりで」
「いいですよ…え?」
「約束ですよ」




は・め・ら・れ・たっ!!!と思った時には既に遅い。








「左近まで」
先生覚悟っ。わぁ」
「いやぁ強いですね」
「そこっ!!!ムカつく」
「頑張れっ」
「頑張ってください」





頭ん中がぷちりと切れた。怪我をしないようにと考えてたらわらわら復活しやがるから。疲れ るだけで終わらないんだよ






「次からは本気で行くからね。」
「たぁぁぁぁっ」





ごめんねごめんねと心の中で何回もいいながら腕を取って





そのまま肩を外させる。





「痛いっ」
「あー。」
「もう来ないでね。私の勝ちでいいよね」
「駄目です」
「わっ。ちょっと」


何人か複数で来る。木の上から野村先生がしっかりしろと檄だけ飛ばす。
肩を外し足を外す。



(ごめんごめんね)
(痛いよね。ごめんね)




そんなことを考えていたら






後ろから強い力で引っ張られて。









(負けるっ)






目の前で爆音が聞こえる。










「あーあ。来ちゃいましたね」
「流石6年生の姫君だね」
「退散しますか」
「ここで無傷で生き残ったら単位をやろうかね」












無邪気に笑う3人の大人はいつの間にやら消えていた。












03.只今参上








「何やってんだ」
「大丈夫か」
「うん。なんでみんな?」
と遊ぼうかと思ったらいなくてさ。私たちが探してたらこんな事になっててね」
「伊作ちゃん」
「大丈夫。うまく外してくれてるから。入れときます」
「…」
「駄目だ。長次。ここは素手でいっとけ」
「…」
「けがしたら元も子もないだろ。」
「それより先にこのバカを取り押さえるのが先だ。」
「えっあっ。駄目駄目駄目。そろばんしまって。クナイも駄目。死んじゃうからっ。留さん止 めて」
「バカ。頭に血が上って何してやがんだ」
「あ?」
「留さん喧嘩ふっちゃだめ。金槌降ろして」
邪魔だ。うでを押さえるな」
「仙様、助けて」
「報酬はキスでいい」
「文次落ち付いて。私の貞操が危ない(ナイス仙様)」
「なんだそれ以上がいいか(こうでもしないと止まらんだろう、このギンギンは)」
「私もっ」
「こへっ?!!きゃぁぁぁ。胸っ」
「てめっ。なに人の女に触ってんだよ」
「…え?」











珍しい。珍しい。
見上げてみるとばつの悪そうな彼の顔。
いつの間にか2年生たちも避難してくれたし。
ナイス伊作ちゃん&長次君





「で、どうしてこうなったんだ」
「かくかくしかじかで」
「…」
「どう仕返ししようかな」
「もう決まっているんだろ」
「流石仙様」
「?」
「では大御所に動いてもらおうか」
「ええ。」
「「ふふふふふ」」
(時々、仙蔵とがだぶって見えるのは私だけか)
(いや、気のせいではないだろ)
(…はぁ)











後日
「「おばちゃんは?」」
「今日からおやすみです。私が代りにはい。土井先生スペシャルと野村先生スペシャル」
「う」
「げ」
「お残しは許しませんよ」
「山田先生っ」
「あんたが悪い。」
「うふふふふふ」