取り合えずだ。ここの姫君が可笑しいのは三の姫だけらしい。
ほかの姫君は…まぁ、姫君らしい姫で。








なぜかあの三の姫だけ変わっている。




様は変わっておられるのではござらんよ。他の姫君様以上にご領地の人々をご自愛なさっておられる。」
「っていってもよ。普通城の中に」
「政宗様」
「戦争孤児を自分の私財でお育てになっているのでござる。」
「といってもいい年だろ。嫁の貰い手ないのかよ」










と言った瞬間くいくいと着物を引っ張る子供がにっこりと笑う。








「大変でござる。」
「Ah?げ」
「なにがげ?かしら」








両手に子供を抱いたが立っている。




「まぁ、良いわ。幸村」
「はっ」
「手合わせして」
「そっ某まだ傷が」








と言った瞬間真田が吹っ飛んだ。









「姫〜お腹すいた」
「お腹すいたよ」
「はいはい。向こうでおやつ食べましょうね」
「「…」」









crazy。それ以外のなんでもねぇ。
あのほそっこい腕でどんだけ力があるんだよ。と思ったが口に出さない。
ここにきて1つ学んだ。
(武田のおっさんとの立ち合いを見た瞬間から)



「豪快ですね。」
「crazyだろ。それ以外じゃねぇ」
「はい。」
「でっですが。とても素晴らしい人なのですよ」
「まず血を拭って来い」
「忝い」



















「あら?」
「んだよ」
「右目は?」
「小十郎なら行った」
「おやついる?」
「あめーのはいらねぇ」
「美味しいのに。」
「良く寝てんな。こんなに騒がしいのに」
「これくらいでへこたれてたらうちで暮らせないわよ」
「ふ〜ん」










そういうと俺はの横に腰を下ろす。
取り合えずだ膝の上に寝ているガキの頬を突いたら思いっきり叩かれた。












「いてぇ」
「起きたらどうすんのよ」
「お前。俺が誰だか知ってんのかよ」
「知ってるわよ。独眼竜」
「shit.madな女だぜ」
「どてっぱらに穴あけるわよ」










笑顔が怖い。
こいつならやりかねぇ。
それあえず舌打ちをするとふふふと笑いながら膝の上のガキの頭を撫でる。












「そういや。聞きてぇんだけどよ。いいか」
「何?」
「あんたそんだけの力を持っててどうして戦わねぇ」









(そういった瞬間の顔は忘れられない)







「この子たちの親は私の隊だったの。」
「ん」
「戦場は怖いしね」
「そりゃないだろ。じゃあ嫁にいかねぇのかよ」
「行かなきゃいけない?」
「普通行くんじゃねぇの」
「貰い手ないしね。私は」
「そうか」









と言った瞬間は子供を抱いて近くにあった布団に寝させる。






そして一伸びしてこっちを見つめる。











「子供ができないかもしれないから、私」
「は?」
「小さい時に高熱出してね。」
「なんだよそれ」
「武田の姫が嫁ぐなら正室でしょ?子供が産めない可能性のある女じゃだめでしょ?」
「そんなもんか?」
「右目に聞いてみてごらんなさいな」
「ふーん」
「あと。」













私はあなたより若いわよと笑う姿が少しも幼くなくて驚く。
しかし…だ。笑うこいつは心から笑っていない気がした。





「右目」
「あ?」
「どうしたの?」
「なんでもねぇよ」
「そう」
「大体俺の右目はもういる。」
「そうね。ちょっとこっち来て」








ずいっと顔が近づいてきたと思うと右目に静かに触れた







「綺麗な顔なのにもったいない。隠さなくてもいいんじゃない」
「Ah?ったく誘ってんのか」
「私より強かったら相手にしてあげるわよ」
「フン。」
「これ以上怪我をしませんように」
「っち。」







調子が狂う。
今まで見てきた女のどれとも違う
(当たり前だが)








どうしたものだか











02.城にいる最強の女











「あいつが本当に武田最強の親衛騎馬隊の三の姫か」
「はい。以前は某たちと一緒に戦いに行っておりました」
「強いのによ。なんで出てこない?」
「強い故でござる。」
「何言ってやがる。」
「以前某に言ったことがあり申す」












『父上様が人は城、人は石垣、人は堀。情けは味方、仇は敵なりといいますが…幸村は春望を知っていますか?』
『国破れて山ありという』
『そうです。その続きは?』
『すいませぬ』
『おバカ。少しは学問をたしなみなさい。』
『すっすいませぬ』
『城春にして草木深し、時に感じては花にも涙を濺ぎ、別れを恨んでは鳥にも心を驚かす、烽火三月に連なり、家書万金に抵あたる、白頭掻ば更に短かく、渾て簪に勝たえざらんと欲す』
『はあ』
『そういうことなのですよ』
『?』
『私は生を産むことができないのに、そのような苦しみをこの子たち。母御たちに背負わせているのです』
『それは違いまするっ。皆様のために』
『私は罪なのですよ。わかっている。わかっているの、それなのに』










「強い者を欲していると。」
「ha!だからここの奴らはしんどいんだよ」
「なっ某は」
「はいはい」
「幸村」
「はいっ。お呼びですか」
「父上様がお呼びですよ。独眼竜もここにいましたか。右目も無事でしたね。」
「はっ」
「…」
「何。独眼竜変な顔して」
「なっ。なんで普通の恰好してんだよ」
「あっ。これ?母上様が」
「母上様?」
「奥方様がいかがしました」
「『…嫁入り前の女の子がそんな恰好』と泣くんですもの。久々に婆やが喜ぶこと喜ぶこと」
「それででしたか。」
「そんなに似合ってない?」
「そんなことありませぬぞ」
「ふふふ。ありがとう幸村」
「はっ」
「右目は?」
「馬子にも衣装と」
「死にたい?」
「褒めているんです」
「褒め言葉じゃないわよ。可愛くない」
「可愛くなくて結構です。政宗様?」
「伊達殿?」
「似合ってんな。」
「え?」
「So great.まっもう少しsexyの方が好みだがな」
「あなたの好みはどっちでもいいけど…まぁ」






ありがとうとが云う。





にこりと笑うな。どうすりゃいいのかわからなくなる。












(やべぇぞ。おい。こいつは敵の娘)
(わかってる分かっているんだぜ)











(だが…)