目を覚ました瞬間
全身が悲鳴を上げだ。
そりゃそうだ。
結局意識が飛ぶまで抱かれたんだから。
(しかもケダモノジャンによっ!!!)
まどろむ意識の中で
必死で体を動かして
私は目の前のものになんとか顔を埋める。
(枕か何かと思っていたのに)
それは、昨日嫌というほど見せられた逞しい胸板であることが判明して悲鳴に近い声が出た。
というかサケビゴエ。
「ぎゃー!!!」
「んー…」
「ジャジャジャ」
「俺はそんな名前じゃネェよ」
「なんでっ!!!」
「ベッド一つしかねぇんだから仕方ないだろ」
「…この手退けていただけません」
「やだ」
「体が痛いからっ」
「鍛錬が足りないからだ」
「…シンデシマエ」
「まだヤッて欲しいか」
「…ジャンなんて嫌い」
其処まで言ったら
ジャンが私を抱きかかえるように回した腕を退けて
私の黒髪の先で遊び始める。
(若干様になっていてカッコいいと思ってしまう私の脳内はきっとおかしいに違いない)
「の癖に生意気なんだよ」
「私にだって選ぶ権利がありますから」
「…どんなんだよ」
「は?」
「お前の好み」
「真面目で女遊びせず私を大切にする人」
「まんま俺じゃねぇ?」
「どの口叩いてそんなこと言う」
「おー?」
「この間だって」
「何?嫉妬?」
本当に嫌なやつだ。
別に処女でもないしさ
仕事がらこんなことしなきゃいけないときあるしさ
(夫婦設定とか恋人設定の潜伏する時に仕方ないから)
別段貞操を大切にする気は無いけれども
こいつみたいな遣り方は無いと思う。
「」
「っ」
「マジで日頃の鍛錬足りてねぇんじゃ無いの」
「痛い…」
「腰か?」
「全身」
「おーおー。」
「手加減してよ。私も仕事があるんだから」
「おーおー」
「(絶対聞いてない)」
「ジャン」
「コーヒー入れてきて仕事に行くわ」
「っ!!!私も」
「俺一人で十分さ」
「っ…」
「ココでよい子にお留守番してなお嬢ちゃん」
何よその言い方!!!
本当に悔しくて
私はシーツに顔を埋めて
泣いている事をばれないように
静かに泣いた。
(男に生まれたかった)
沈む沈む夕日の果ては03
「よー」
「おー御神苗」
「あれ、は?」
「寝室」
「またかよ」
「ウルセェな」
「…程ほどにしとかないと本当に殺されるぞ」
「あいつに殺されるんだったら良い」
「ジャン」
「あ?」
其の科白似合わねぇなといわれたので
うるせぇなと
にやるコーヒーを注いだ。
(それくらい愛しいんだ)