「というわけなの」
「ふーん」
「何その反応」
「別に」
「ティア…」
「うふふふ。そのままくっついちゃいなさいよ」
「人ごとだと思って」
「人ごとよ」
「ひどすぎる。」
私はからからとアイスティーをかき混ぜる。
今日は久々のオフでティアに相談に乗ってもらっているのだが…埒が明かない。
「私はね、こうなんて言うの」
「純愛…かしら」
「そう。浮気する人は嫌なの」
浮気の一つや二つ許してあげなさいよとティアはけろっという。
ティアの馬鹿。
私はトルテをつつきながら独りごちると頭をはたかれた。
痛い。地味に痛い。
「言いたいことはハッキリ言いなさい」
「ティアの馬鹿。魔女。悪魔」
「魔女以外は外れね」
「痛いっ」
「大体彼のどこがいけないの?」
「浮気するとこ」
「ライカンスコープなんだから仕方ないじゃない」
「何その偏見じみた意見」
そういうと優雅にカップに口をつけていたティアが目を見開いて知らなかったの?という。
何を知らないというのだ。
それを教えてほしい。
「あなた腐っても魔女だから知ってるかと思った」
「私はあなた様みたいに長生き…」
「何か言った?」
「いいえ」
「まぁいいわ」
「?」
「ジャンはね。ライカンスコープよ」
それは知っているわよ、惚けた?というと思いっきり足を蹴られる。
ティア怖い。笑みを浮かべたまま蹴るのだから怖い。
「寿命が短いのよ」
「…は?」
「40歳前後しか生きられないの」
「何それ?私そんなこと知らなかった」
「だからじゃない」
「?」
「種を残したいって本能が人より強いのわ」
「嘘」
「さあ」
優雅に紅茶を飲むティア
若干だけれども彼の「愛している」を信じた私
こんがらがってしまってトルテをつつき続けていると
本人に聞いてみればとティアが云う。
その言葉を聞いた瞬間、私は彼のもとへ文字通り飛んでいった
沈む沈む夕日の果ては08
「げっ」
「優」
「どっから湧いて出た、。って」
「ジャンが早く死んでしまうってホント?」
「あ?あー…」
「どっち?」
急に表れたかと思ったらさくらはボロボロ泣きながら俺に問い詰める。
(俺風呂上がりなんだけど)
とりあえず今はやばい。奥にジャンが居る。勘違いされると…
「?」
「っ」
「ジャンっ!!??」
絶対殺される。
「…いい度胸してるじゃねぇか。御神苗。」
「ちがっ」
「ジャンっ」
泣きながらがジャンに抱きつく。
(あのジャンの目がまん丸になっているのが面白かった)
「うわぁぁぁ」
「…何しやがった」
「何もしてねぇよ。こっちが被害者だ」
「?」
「うー…」
「おいどうした。お前はそんな女じゃないだろ。」
「うー…」
「泣いてちゃ分かんないぞ」
「…ジャンの馬鹿」
「あ゛?」
私だけ知らなかったんじゃん。
と彼女はとてもつらそうな声でいう。
「何がだよ」
「全部嘘じゃん」
「だから」
「ジャン」
「?」
「バイバイ」
そういうとの影が薄くなる。
(言い逃げかよ)
必死にその腕をつかもうとも掴めるはずもなく
涙を流したままは消えてしまった。
「は?なんだよ一体。」
「どうやらお前の寿命の事聞いたらしいぞ」
「は?」
「どうせ本能的に抱かれてるって思ったんじゃないの?」
「っち。」
「どうすんだよ」
「…仕事がある。」
そういうとジャンは踵を返して部屋から出ていく。
(あの好きっていうのは本気だったのに)
(あの好きは本能のままに言った薄っぺらい言葉だったんだ)
(お前しか見えないのに)
(私は森の中の木なんだ)