「で、が居なくなってしまったのですね。」
「うふふ」
「悪趣味ですよ」
「いいじゃない。紆余曲折があった方が」
「はぁ」










失踪1週間。









ジャンのピリピリがマックスになりつつある。







「まぁ、は大丈夫よ。どうせ家に戻ってるんでしょ」
「たぶんそうだと思いますけど、ジャンがそこにいきますかね」
「あら?ジャンはの家知らないでしょ」
「そうでしたね。」




ということで優と2人は至極自然に至極恐ろしいことをいう





「「いってらっしゃい。優」」



(俺やだよ)
















沈む沈む夕日の果ては09





















「という事でを連れ戻しに行きなさい」
「嫌だ」
「どうしてです」
「あいつの家がどんなとこか知って」
「…どこだよ」
「(喰いついてきやがった)」
「どこだ」








すげぇ悪い顔だ。2人とも。





















という事でやって来ました。







「いつにもまして禍々しい」
「なんだよここ」
んち」
「…」

ドン引きのジャンを初めて見た。ある意味レアだ。
朧だって初めてをスカウトしに来た瞬間引いていたのだから。
宅はそれくらい凄い。何がすごいって。人間の本能を擽る禍々しさがある。
まず、家が朽ち果ててないのが可笑しい位古い。まぁそれ位なら良いが光がない。人の生活している空気がない。
以前ジャパニーズホラーが流行った時に都市伝説化したのよねとが笑っていたことがある。
その時は笑ったが心の底では笑えなかった。無理無理。都市伝説化というより都市伝説そのものだ。


「行くか」
「ああ」
「注意することあるか?」
「死ぬな。以上」
「…」





光のない闇に式神でトラップを仕掛けているものだからたちが悪い。
本当にたちが悪い。






現にそのトラップに掛ってしまったジャンは傷だらけになっている。
得体の知れないものに噛まれるってどうよ。よ、そのセンスはいただけない。









〜いんだろ」
「おい、ででこい。とりあえず出て来い」













暗闇の奥底でぐすりと泣く彼女の声が聞こえた。








「そこかっ」
「ばかっ!!!それは」
「うわぁぁぁ」







トラップだという前にそのトラップに嵌る奴が馬鹿だと思う。
明らかに罠だ。大体普通の民家なのにもう2時間も歩いてんだぞ。いい加減に気がつけよ。








〜ケーキ買ってきたぞ」
「ケーキ?」
「そうだ。俺だけでもここから出せ」
「御神苗っ!!!???」
「うん」













その声とともにやっと光が見える。








緑の木々が生い茂る森
木漏れ日が差す湖のほとり



信じられないくらい美しい自然の中




ただひとりがうずくまって泣いている。







(これを見た瞬間朧ですら感激していた)






「優ぅ」
「はぁ…」
「ううう」
「馬鹿だな。泣くなら違うとこで泣けよ。ここに来る身にもなれ」
「だって」
「あとジャン助けてやれよ」
「来てるの?」
「知ってるだろ」
「ん…」
「でだ」








ほいとケーキの箱を手渡す。どこもへこんでない。さすが俺。
ありがとうと笑うは絶対年上に見えない。







「落ち着いたか」
「うん」
「相変わらず精神が乱れると凄いことになるなお前の力」
「だから師匠が結界を張ってくれたここにいるんじゃない」
「はいはい。クリーム付いてんぞ」
「…つけてんの。」
「可愛くない奴。」








ふふふと
やっと笑ったらジャンがこっちへ飛ばされてきた。
(というより、精神が元通りになったんだろけど)






「っう」
「よ」
「御神苗。てめぇ!!!」
「まぁ、良いじゃねぇか。俺なんか修行って言われて一日いたんだぜ」








ギャーギャーいうジャンがぴたりと止まる。













に気がついたか)







まぁ無理もない。この世界には本当にきれい…というかなんというか言葉に表せないからな。



「ジャン」
「おまっ。」
「ジャン」
?」
「ジャン」









ポロポロと泣く様は本当に儚くて
あのジャンですらタジタジになる。








「どうした?いつもの威勢はどうした」
「う…」














ただ泣くだけで何も言わない
それを無言で抱きしめるジャンと
とても居心地が悪い俺。








(何でもいいから発展してくれよ)